ホームページ制作の見積りの内訳とは?種類と特徴を解説

ホームページを制作会社に依頼するときは、ほとんどの場合「見積書」を提出してもらいます。

ところが、ホームページ制作に関わったことがない方にとっては、見積りに書かれている項目が何を指しているのかさっぱり分からないことがあります。

項目の内容が分からなければ、何にいくら支払うのかが分かりません。また提示された作業が本当に必要なものかも、判断が難しくなるでしょう。

今回は、ホームページ制作会社に見積書を提示されて困らないように、内訳の種類と特徴を紹介していきます。

その他にも、制作会社の見積り価格の算出方法や見積りを依頼するときに注意すべき点、適正価格におさえてもらう方法も分かります。

初めて見積もりを取ろうとしている方は、ぜひ参考にしてみてください。

ホームページ制作の見積りの内訳

ホームページ制作の見積りの内訳には、いろいろな項目があります。

依頼するホームページ制作会社によって、同じ作業でも項目名が異なったり、項目の分け方が違ったりするのはよくあることです。

これから説明する各項目の名称は参考程度に留めておいてください。大切なのはその項目で制作会社が何をしてくれて、何をしてくれないのかを理解することです。

進行管理費

進行管理費とは、プロジェクト管理費やディレクション費とも呼ばれ、制作責任者(WEBディレクター)に支払う費用です。

制作費用に応じたパーセンテージ、またはWEBディレクターの人件費で算出されます。

制作するチームにはWEBデザイナーやライター、カメラマンなどいろいろな人が関わるため、業務の品質管理やスケジュール管理などをまとめる責任者が必要です。

また、クライアントと制作チームの間に入って折衝したり、クライアントの要望をヒアリングするなどの窓口業務もおこないます。

ホームページの出来栄えは、この責任者であるWEBディレクターの腕や経験の多さによって変わることも多いです。

そのため削ってしまうとWEBディレクターが関われる時間が減るので、よい提案がもらえなかったり、制作のクオリティが下がったりなどデメリットになってしまうことがあります。

現状分析費・企画費・KPI設定費

現状分析費は商材を取り巻く市場動向や業界、ライバル社動向、リニューアルする場合なら既存のホームページの課題点を洗い出すなどの分析にかかる費用です。

企画やKPI設定の土台となる情報になり、企画費やKPI設定費に含まれることもあります。

企画費はプランニング費とも呼ばれますが、ホームページのコンセプトやどのようなコンテンツを掲載するかなど、制作から運用までの本筋を決めるためにかかる費用です。

企画を立てると次に、KPI(Key Performance Indicators=目標値のこと)を設定します。

KPI設定は、ホームページの目標を達成するまでに、クリアしなければならない数値の目標を具体的に決めることです。

KPIを設定するにも、現状分析を踏まえないと作成が難しいので、現状分析費が含まれることもあります。

これらの費目は、現状を踏まえよりよい企画を提案してもらうために必要な作業費です。

SEO対策費・マーケティング費

SEO対策費は、ホームページが検索上位に表示されるよう狙うキーワードを選定したり、既存のホームページのアクセス解析をおこなったりなどの作業にかかる費用です。

ホームページの規模が大きければ大きいほど、現状分析も煩雑になるため、費用がかかります。

マーケティング費は、マーケティング戦略の企画や提案、リスティング広告やSNS広告の運用代行などにかかる費用です。

どちらもホームページへの訪問者を増やすための施策にかかる費用で、コンサルティングにある種近い費用といえるでしょう。

もしホームページで集客をしたいと考えているのであれば、SEO対策やマーケティング施策は、プロに頼ったほうが成果が早く出ることが期待できます。

サイト設計費

サイト設計費とは、ホームページの設計図でもあるサイトマップやワイヤーフレームの作成などにかかる費用です。

サイトマップはホームページ全体のページ構造を記載したもので、どのようなホームページでも作成が必要です。

ワイヤーフレームは各ページのレイアウトを記載したもので、すべてのページ分を作成しないこともありますが、トップページやカート画面など主要なページは作る必要があります。

大規模なホームページの場合、主要なページも増えるので作成費用は大きくなります。

デザイン費

デザイン費は、デザインカンプやモックアップと呼ばれる見本イメージを作る作業から、完成品を作るまでの作業費です。テンプレートで作るか、完全オリジナルデザインで作るかによって、費用に大きく差が出ます。

トップページはホームページの顔なので重要度が高く、掲載する情報やリンクも増えるので、下層ページの制作費よりも高くなります。

下層ページは、すべてのページがデザインカンプの対象になることは少なく、ページの重要度によって主要ページのみの作成になることも多いです。

素材費

素材費は、デザインに必要な画像やイラストにかかる費用で、PIXTAやiStockなどから購入されることが多いです。

ホームページを開いて、最初に目に入ってくる場所にイメージ写真を使うことが多く、その写真のクオリティによってホームページから受ける印象は大きく変わります。

ロゴデザイン費

ロゴデザイン費は、すでにロゴをお持ちならロゴデータを制作会社に渡すだけですので、必要ありません。

ホームページ制作のついでにロゴ制作も依頼したいと考える人は多いでしょうが、ロゴデザインはWEBデザインより難しいので、追加料金の対応になるところが多いです。

コーディング費・レスポンシブデザイン費

コーディング費とは、完成したWEBデザインをもとにHTMLとCSS、JavaScriptでプログラミングを書き出し、ブラウザ上で見える状態にする作業にかかる費用のことです。

対応するブラウザの指定によって、費用が変わることがあります。

ブラウザとは、ホームページを見るために必要なアプリケーションのことで、Google ChromeやMicrosoft Edge、Safari、Firefox、Internet Explorerが有名です。

そのなかでもInternet Explorerは、他のブラウザと同じように表示させるために別作業が必要になることがあるので、費用が別途かかることがあります。

レスポンシブデザイン費とはスマートフォンやパソコン、タブレットなど、画面サイズが異なるデバイスを使っても、適切に見えるよう表示を最適化させる費用のことです。

SEO対策の観点からも、レスポンシブデザインでホームページを作ることが標準になりつつあります。しかし、コーディングに手間がかかるため、別途費用が必要になることがあります。

コンテンツ作成費

コンテンツ費とは画像やテキスト、動画などの制作にかかる費用です。

WEBデザインに使う画像もコンテンツに含まれることがありますが、前述の素材費で紹介したので、ここではテキストコンテンツと動画コンテンツに関して紹介します。

テキストコンテンツには、ホームページに掲載する情報や投稿する記事、LP(ランディングページ)の文章などがあります。

オウンドメディアを運営する場合は、たくさんの記事コンテンツを用意しなければならないため、制作会社などに外注依頼することもあります。

記事制作やLPの文章は、クラウドソーシングなどを利用すると費用が安く抑えられますが、品質の保証ができません。

制作会社では、プロのライターがいるので費用は高くなりますが、品質は安定します。

また最近では、動画コンテンツもホームページに掲載するところが増えてきており、Googleの検索結果に動画が表示されることも多く見られるようになりました。

動画は、テキストや画像よりも伝えられる情報量が多いため、商材のPR動画で販売促進につなげたり、企業紹介動画で人事採用に活用したりするなどの例が増えています。

動画作成費では、動画の企画立案や撮影、編集作業などが含まれます。

撮影費

撮影費はこちらから撮影を依頼した場合に、見積りに記載される項目です。

会社の代表者や社屋、商材などの画像を入れたいが自社に画像の準備がない場合、制作会社によっては撮影を依頼できたり、手配してくれたりすることがあります。

環境構築費・機能実装費

環境構築とは、サーバーやドメイン設定、WordPress導入、CMS構築などのホームページ運用ができるよう環境を整えることです。

機能実装とは、投稿機能やお問い合わせ機能、予約機能、Eコマース(取引)機能などをホームページに持たせることです。

ホームページの用途によっては、プラグイン(機能の拡張)やカスタマイズなどが必要になることがあります。

テスト費

テスト費は、制作が終わったあとの動作を確認する作業費です。

誤字脱字がないかはもちろん、注文機能でカートに入れ購入できるか、お問い合わせ機能でテキストを送れるか、ページ遷移がスムーズか、などを確認します。

ホームページのページ数が多かったり、機能が複雑だったりする場合は、チェック項目が増え完了までに数日もかかることがあり見積りも高くなります。

保守運用費

保守運用費は完成したホームページを維持するため、月単位(または作業単位)で継続的に支払うことになる費用です。

トラブル対応やメンテナンス、セキュリティの監視、WordPressのアップデート対応、情報更新、アクセス解析、ドメインとサーバーの管理などがあります。

とりわけメンテナンスやセキュリティ対策を怠ると、ウイルスに感染したりホームページがダウンしたりするリスクがあります。

継続的に費用が発生しますが、自社にITの知見が無ければプロに任せたほうがよいでしょう。

サイバー攻撃の危険性やセキュリティ対策について、こちらの記事で紹介していますので、参考にしてみてください。

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ホームページ制作会社が見積り価格を計算する方法

制作会社は見積り金額を、主に「作業数単位」と「人日単位」の2パターンで算出します。ここからは、それぞれの特徴を紹介します。

作業数単位

作業数単位は、各作業単位で料金が設定されており、必要な作業を組み合わせて見積りが作られています。

たとえば「サイトマップ作成¥50,000」、「現状分析¥30,000」などのように、何にいくらかかるのかが分かりやすいです。

しかし、見積りに載っていない作業は、イレギュラーとみなされ別料金の対応になってしまうことがあります。

ホームページの要件がしっかり定まっていない場合には、作業数を多めに見積もられることがあるので、依頼内容をしっかり固めてから見積りを取ることがおすすめです。

人日単位(工数単位)

人日(にんにち)単位は、制作担当者1人の1日稼働あたりの単価に、完了までに必要な日数をかけて計算する方法です。

大きなプロジェクトになると、制作担当者1人の1ヵ月稼働を単位とする「人月(にんげつ)」を用いることもあります。

たとえば、WEBデザイナー1人の単価が¥30,000/1日、WEBディレクター1人の単価が¥50,000/1日で、2人で完成までに10日必要とすると、

  • WEBデザイナー 30,000 × 10 = 300,000
  • WEBディレクター50,000 × 10 = 500,000

合計80万円の計算になります。

作業数単位と異なるのは、制作途中でイレギュラーな作業が発生しても、決まった日数以内に完了してもらえばよいため融通がきく点です。

しかし人日単位では、どの作業にいくらかかっているのかが不透明になりやすく、日数を長くしようと思えば水増しできてしまう点になります。

そのため、人日単位の見積りを提出してきた制作会社は、信頼できるかどうかをチェックする必要があります。

ホームページ制作の見積書を取るときに注意すべきこと

制作会社から見積書を取るときに注意すべきことを2点紹介します。

わからない項目はきちんと確認しよう

わからない項目や見たことがない項目が出てきたとき「何かわからないけど、ホームページを作るには必要なんだろう」と考えてはいけません。

めったにあることではありませんが、専門用語を並べておけば初めてホームページを制作する人ならわからないだろうと、必ずしも入れなくてもよい作業を含んでいることがあります。

わからない項目が出てきたら「この作業は何か?」、「なぜ必要なのか?」などを担当者にしっかり確認してください。

こちらの疑問に対して、丁寧な説明を得られなければ発注するのは危険な会社です。

自分がしっかり理解するまで説明してもらい、納得してから制作を依頼するようにしましょう。

提案書も一緒に提出してもらおう

提案書は、見積書の項目を補完する資料になります。

見積書の提示価格が、自社にとって本当に価値があるものかどうかは、提案書を見ないとなかなか判断するのが難しいでしょう。

提案書に掲載される内容には、ホームページの目的や課題、要件整理、コンセプト、ターゲット層、施策など、制作提案や方向性の詳細が盛り込まれます。

以下は、提案書からわかる事項の一例です。

  • 現状分析や競合分析の方法やその成果物
  • SEO対策は何をするものか
  • 提案するコンセプトやデザインの根拠
  • コンテンツ案は何をどこまで作ってくれるのか、など

分析結果などは、過去制作したことのある成果物の事例を提示してくれる場合もあり、見積りだけではイメージしにくい全体像を補い、具体的にわかりやすくなります。

社内で見積りを精査する際にも役立つので、できるだけ見積書とセットで提案書を出してもらいましょう。

見積り価格を適正におさえてもらう方法

見積り価格が高くなってしまうのは、制作会社が「必要かどうかわからないから、あれもこれも一応入れておくか」と考えるからです。

このような状態を作らせないことがポイントで、制作会社が必要な情報を「提案依頼書」にまとめ、見積り依頼時に一緒に提出するとよいでしょう。

「提案依頼書」は見積り依頼の前に社内で作成し、その内容はホームページの目的や掲載したい商材の強み、特長、ターゲット層、企業の強みなどをまとめます。

これらの情報をあらかじめ制作会社に渡しておけば、制作会社は見積り金額を安くおさえて作ることができ、さらに提案の質も高くなるなどのメリットがあります。

以下の記事では、ホームページ制作会社の選び方のポイントの解説とともに「提案依頼書」に記述すべきことなどを紹介しているので、参考にしてみてください。

失敗したくない!ホームページ制作会社の選び方7つのポイント

ホームページの制作を依頼できる会社は、インターネットで検索すればたくさん出てきます。初めて依頼する場合、多すぎて何を基準に選べばよいかわからない方も多いのでは…

まとめ

今回は、見積り項目の種類と特徴を紹介してきました。

ホームページ制作では、見積書の項目は種類が多く、依頼する会社によって同じ作業でも項目名が異なったり、項目の分け方が違ったりすることはあります。

すべてを覚える必要はありませんが、なんとなくでも全体を理解してから見積りを取ると、理解が早くなるでしょう。

見積りを見るポイントは、提示された項目から何をしてくれて、何をしてくれないのかを理解しようとすることです。

また、見積り金額を安くおさえてもらうには、自社で事前の準備も重要になります。

しっかり準備して適正な見積りをもらい、自社が作りたいホームページ制作ができるよう、参考にしてみてください。

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